FIJI珍道中 ⑦オージー姉ちゃんと対決!
FIJIへ向けて順調な飛行を続けるエアパシフィック910便。
モニターに映されたナビを見ると、ただいまニューカレドニア上空を飛行中だ。
ニューカレドニアと言えば天国に一番近い島として有名だが、今のこの機内の53B席の状況は天国どころか”地獄に一番近い席”だ。 オージー姉ちゃんのジャーキー攻撃はまだ続いている・・・
うみとどとふたりで、もらった分のジャーキーを必死で平らげる。
平らげると、さ、さぁもっと食べてとばかりに差し出してくる。しかもどんどんひと切れが大きくなってゆく。
これじゃまるで わんこそばならぬ”わんこジャーキー”ではないか!(犬が食べるジャーキーではないですから)
このままおとなしく引き下がるわけにはいかない。
プチターミナルを経験した我々にはかつてない度胸が身についていたのだ。
こっちもお返ししてやろうということで、オージーちゃんがトイレに立った隙に、自分の持ち駒をチェックした。
JALの機内でもらった飴 数種、チョコレート、これまた機内でもらったおつまみ(おかきとかが入っている)、ナッツ、さっきの食事についてきたTim Tam(クリームの入ったビスケットをチョコでコーティングしたお菓子)、それに・・・ おっ 日本から持ってきた、たこの珍味もあるぞ。
よし、カードは揃ってる。何から切っていくかな?
すっかりトランプの”大富豪”の気分になってきた(笑)
まずはお手柔らかにってことで、ナッツを差し出す。
オージー姉ちゃん ジャーキーのお礼だと察知したのか それほどうれしそうではなかったが、すんなり受け取った。 オージーちゃんの出すカードはなく、パス! まずは成功だ。
次に何を切ろうかとゴソゴソやっていると、ある瞬間オージーちゃんの目がキラリと光った!
「あっ それちょうだい!」
ん? Tim Tamだっ ちぇっ なんて目敏い奴だ。
さすがはオージー オーストラリア生まれの菓子には敏感だな。 ほとんど目で盗られたような感じだ。 しょうがない、あげるよ。
オージーちゃん 異常にはしゃぐ。 「これ、大好きなのよ~ めっちゃおいしいよ」
あっ そう そりゃ良かったね。 まぁ相手にもちょっと餌蒔いておかないとね。
ここで次の一手は重要だぞ。 う~ん 今度は飴だ。
ソーダ飴をあげてみる。 これは反応なしだ。
オージーちゃんも負けじと、チョコレートのカードを切ってきた。
別に普通のチョコだった。まぁこれくらいはなんてことない。
次はどうしようか・・・ 必殺 たこの珍味か? いや これはJokerだもんなぁ もったいない。
そこで、いちごチョコのカードを切った。
頬張りながら、ニヤついているぞ。 「Oh! Strawberry 私大好きなの これもおいしいね」
あんた チョコ好きなんだね。
オージーちゃんはもう出せるカードないみたいだぞ。
じゃあとどめの一発だ!
エイっ おかきだ! どうだっ。 一応説明「Japanese Rice Cracker」と。
ふ~ん と聞きながら、次の瞬間 表情が変わった。
いやそれは・・・ そう思っているのが手に取るようにわかった。
結局食べることなく、かばんにしまったのだった。
やった~ 勝負に勝った! もう攻撃はないぞ。
ついに平和がやってくる時が来た。
オージー姉ちゃんとの対決は一応終結したが、このあと会話攻撃が待っていた。
「あなたたち ハネムーン?」 んなわけねぇだろ!
オージーでもいっちょまえに社交辞令知ってるんだ。
友達の結婚式に出るんだと答えると、「へぇ~ そうなんだ 私も友達に会いに行くの」だって。
FIJIの友達ってどんな人なんだろう?
この飛行機のCAさんみたいに頭ちりちりで、花刺してる黒い人なんだろうか・・・
そういえば、フィジアンCAさん 100%ちりちりだ。 天然なんだろうか?
そんなことを考えているうちに ナビにFIJIの島々が見えてきた。
やっと着くぞ~
あと少しで着陸態勢に入るという頃、左隣のうみとどが化粧ポーチを取り出す。
すかさず、右隣のオージー姉ちゃんも化粧ポーチを取り出す。 かなり立派なやつだ。
オージーちゃん うみとどの化粧品を見るなり、「Dior?」と聞いてきた。
うみとどが「Yes」と答えると、オージーちゃんが思いもよらぬことを言い出した。
「私、ディオールのメイクアップアーティストなの」
「ディオール最高よね~」
はは~っ これは失礼いたしました。 一気に降参です。
オージー姉ちゃんって呼んでごめんなさい。
結局、ここまでの間にすっかり意気投合してしまい、ナンディ空港で別れるまで延々話したのでした。
まもなくナンディ国際空港に着陸します。 やっと見えてきたFIJI(でも真っ暗で見えない)
あとは無事にホテルまでたどり着けるのか。
この後も、まだ関門が残っていたのだった・・・
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